菩提樹について

 

 前回お話し致しましたいろいろな数珠の素材の中で今回は「菩提樹(ぼだいじゅ)」についてお話ししたいと思います。
 「菩提樹」は皆様ご存じかとは思いますが、お釈迦(しゃか)様が悟(さと)りを開かれたのが菩提樹の木の下であると言われています。そのようなことから菩提樹と名のつく数珠が多く存在しています。

 さて、「菩提樹」と名のつく数珠はいったいどのようなものがあるのでしょうか。数珠に多く用いられている「金剛(こんごう)菩提樹」や白い玉に黒点のある「星月(せいげつ)菩提樹」(以下菩提樹は省略)「鳳眼(ほうがん)」「龍眼(りゅうがん)」「虎眼(こがん)」「天竺(てんじく)」「黒龍(こくりゅう)」「日月(にちげつ)」「蓮華(れんげ)」など他にもたくさんの菩提樹と名のつく数珠があります。  それぞれ菩提樹の名前はついていますが、仏教発祥の地にちなんで名前がつけられている物が多く菩提樹科という植物分類ではありません。
  たとえば茶色の玉で表面がゴツゴツとした金剛菩提樹を例にあげますと、クワ科の常緑性高木でインド原産、高さは三十メートルにもなり無花果(いちじく)状の実をつけます。その実を加工して金剛菩提樹の数珠材料に用いています。私ごとではありますが、母校である大谷中学・高等学校の校章は金剛菩提樹の葉と実であったように思います。

 また、星月菩提樹は玉に削ると白い玉に大きな黒い点がひとつと小さな点が無数にありますが、この実は木の実ではなく草の実です。原実は歪(いびつ)な形をしていますが加工によって丸い玉に仕上げており、一つしかない大きな黒い点はもともと実がついていたツルの取れた跡で、小さな無数の黒い点は実の中に樹脂(じゅし)が線状になっていることから玉に加工した断面が黒い点となって紋様になっています。この紋様から無数の小さな点を「星」、一つしかない大きな点を「月」にみたて名前がついたようです。この玉は実が堅くお使いになればなるほどアメ色に色が変わって艶(つや)が増してまいりますので、修理を繰り返して永くご愛用されている方が多いように思います。
  さまざまな菩提樹の玉は木の実であるが為に星月菩提樹や一部の物を除き昔は虫が付きやすく、中通し糸や紐(ひも)が切れるという欠点がありましたが、最近はいろんな防虫処理が施されるようになりご安心してお使いになれるようになりました。これからご購入される場合は是非取り扱い方などお店の方にお尋ねになればよいと思います。

 このように菩提樹の数珠は大自然の中ですくすくと育ち、大地の恵みで実をつけ、私たちはその恵みに感謝の心を持って皆様にお数珠を作らせていただいているわけです。大地が生んだ一連の輪となる数珠、大切にお使いになっていただければ嬉しく思います。

 


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