珠数のもたらす意味  〜珠数から感じる人生観

 

 一年間珠数をテーマに書いてまいりましたが、お読みいただいた皆様大変ありがとうございました。

 九歳より珠数を作り始め、珠数の持つ意味も知らず、初めは珠(たま)の穴に糸を通すことが楽しく感じました。今になり珠数を通して様々な人とご縁をいただいていることに喜びを感じ、家業を継承(けいしょう)したことが、我が人生における偽(いつわ)りのない道だと確信しております。

 今年で四十四歳、まだまだこれから珠数と向き合ってまいりますが、最後に、珠数を通して今私が感じていることを書きたいと思います。

 珠数というものは輪の形をもって形成されます。輪の中には、種類によって数が異なるたくさんの珠と、それを繋(つな)ぎ止める糸が存在するわけです。そのそれぞれを違う視点から考えると、たくさんの珠が意味するのは、人が生きていく上で多くの人と出会うご縁をいただくわけですから、人の繋がりを表しているのだと思います。
  そして、その珠を繋ぎ止めている一本の糸は、ご縁を繋ぎ止める私たちの心の糸であると思っています。たくさんの人達に支えられ生かされているのと同じで、心の糸は大切にしていかなくてはなりません。また輪になる形状は、いつも心を丸く保つことの大切さを意味しているのではないでしょうか。

 よくお客様に「珠数の糸が切れたので、何か悪いことが起こるのではないでしょうか?」「何か悪いことが起こるのを、珠数が身代わりになってくれたのでしょうか?」と聞かれます。残念ながら精(せい)あるものはいつか形が無くなります。珠数の糸も同じようにお使いになっていれば、いつかは切れてしまいます。ただそのままにするのではなく、一つひとつの珠は大地からの恵みによるものですから、どうか大切に、早めに修理をして元の輪に直していただければと思います。もしご不要になられましたら、私の店でお預かりいたしますし、無理なときは今までの感謝の気持ちをもって処分していただければ良いと思います。

 このように感じながら、日々一つひとつの珠数がどのような方にお使いいただけるのか楽しみにお作りしております。一つの珠数から何か気づかされることもあるでしょう。どうぞ大切に扱いいただければ幸いです。皆様のご精進を心から念じ筆を置きたく思います。   合 掌

2006.3月

 


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