こんな珠数(じゅず)もあるんだ

 

 私どもが製作している珠数には多種多様の素材を用いていますが、木や木の実、石や珊瑚(さんご)、その他にどのようなものがあるのでしょうか?

 今回はあまり知られていない素材を紹介したいと思います。最近の話題性のあるものでは、二○○五年に開催された「愛・地球博」のマンモス・ラボで一万八千年前の冷凍マンモスが公開されましたが、五年ほど前に北海道在住のヤクーツク親善大使(しんぜんたいし)より依頼があり、マンモスの牙(きば)で玉を削り限定生産をし販売させていただいたことがあります。
  永久凍土(とうど)の下で永い時間天然保存されていたものですので象牙(ぞうげ)よりも材質的に粘(ねば)りはありませんでしたが、象牙質の独特な風合(ふうあ)いは見事でした。

  また、綺麗な紋様(もんよう)が何とも言えない堆朱(ついしゅ)と呼ばれる漆(うるし)の重ね塗りのものを玉に削りお作りした珠数があります。過去には板状に塗り重ね玉にしていましたが、私どもでは現在独自の製法を用い、十二色の顔料(がんりょう)で色づけられた漆(うるし)を細い棒に三百回以上塗り重ね、玉の直径に至るまでに三年の月日をかけお作りしております。
  漆は室(むろ)に入れて乾燥をさせるため、一層の塗りの行程(こうてい)(塗り→室入れ→乾燥)に三日間必要とします。一切木地(きじ)を使用しない漆玉(うるしだま)の逸品(いっぴん)です。

  そして、木の実にもいろいろなものがありますが、鳳眼(ほうがん)・龍眼(りゅうがん)・虎眼菩提樹(こがんぼだいじゅ)を丸く削る前の原実(げんみ)の風合いを生かしたものや、緬茄(めんか)菩提樹と名付けられる茄子(なす)のような形の木の実に彫りを施(ほどこ)したものもお作りしております。少し大きな実ですが頭の部分が堅く彫りやすいため、常に珠数を持ち、日々明るく暮らせますよう気持ちを込めて、その部分に珠数を持った少し微笑みのある羅漢(らかん)様を彫らせていただきました。木や木の実によって彫りが施せる場合は、様々な彫りのデザインを楽しんでいただけるようお作りしたものも沢山あります。

 最後に本堂落慶(らっけい)等の折に廃材(はいざい)を利用し珠数にしたものもあります。まずは板に挽(ひ)き、一つひとつ丁寧に玉をくり抜き珠数に仕立てあげますので、何百年・何十年の長い月日を経て、様々な思いが込められた木を綺麗な糸や房を用い珠数に加工します。

 このように玉の素材が様々だからこそ綺麗さや持つ楽しみがあり、自然の恵みからできた珠数や職人の手を加えた逸品も沢山ありますので、ぜひ感謝の気持ちをもって大切にお使いいただけると嬉しく思います。                                 合 掌

 


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